2014年7月4日金曜日

BONES ― 動物の骨格と機能美 [ハードカバー]

BONES ― 動物の骨格と機能美 [ハードカバー]

“骨から見る生物の進化 (洋書タイトル:Evolution)”という
あまりに美しい骨の写真集が出版されたあとだけに少し損をした感じがいなめません。
本の大きさにもよると思いますが、写真の美しさが違い、
動物の骨格が持つ荒々しさ、組織の生々しい感じが表現しきれず、
“骨から見る生物の進化 (洋書タイトル:Evolution)”に及びません。
しかし、本書の良さは別のところにあります。後半の丁寧な解説。
微妙に痒いところに手が届かないところもあるのですが、
脊椎動物の骨格について、写真とともに学ぶことができます。
値段も良心的。
写真は、少し、ハイライトを強調しすぎではないだろうか。
芸術としてモノクロながら多数の実物標本が自然光の中で映像化され,サイエンスとしての骨格について線画を用いて分かりやすい解説もされています.
商業写真家などの撮したカタログ的写真とは違い一部で窓枠まで映ったシュールな表現の動物骨格写真集でありながら,日本を代表する「遺体科学」を提唱する最先端研究者が監修した解説も楽しめました.
私は動物学の専門家ではありません。少し動物の骨に関わる研究をかじっている関係で、骨の写真が見たかったので、この本を購入しました。骨の全体像や部分写真なんて、あまりみる機会がありませんが、白くて、何よりも機能のために改良を繰り返したフォーム、といったらいいのでしょうか、無駄のないその形は、どの動物の骨も誠に見事です。黒バックに仕上げられた本書の写真は、気持ち悪い、とか、怖い、とかいう感情は抱かせず、只管美しいです。
非常に芸術性の高い、写真集。動物骨格写真集という枠におさまりきらない。 シュールでグロテスクでありながら繊細。かなり見入ってしまいます。 解説も素晴らしい深い一冊。
ヴィジュアルブックが好きで、目にとまって気になると手元に置いておきたくなる。この写真集ともよい出合いだった。写真がなにしろいい。黒の背景に白い骨、それを自然光だけで撮り続けている。フォトグラファーの著者あとがきで「肉体を失った骨(死)から命が吹き出しているのだ。死の生命力とはいったい何だろう? そのヒントは、ディテールに隠されている。死してむき出しになった、骨たちのディテールに」とある。生き抜くためのスピード、ターゲットに飛びかかるジャンプ力、噛みちぎる歯の大きさ、軽やかに空を飛ぶための薄く透き通る頭骨、背骨から肋骨から脚骨、指、尻尾、なんと匠で美しいのだろう。繰り返し、繰り返し、ページをめくり、動物の骨に惚れ込む。これは案外、自分の命の意味、を考えさせられる機会ともなる。人間の骨格の写真はこの本には載っていないが(図説はある)、いまこうして生まれてきた自分が素晴らしいもののように思えてくる。わたしにもこんな美しい骨格があるのだから。もうちょっとましに生きていける。暴走気味の発想だが、見えないところの美しさこそ、大事な美しさがある、と、思わせてくれる。
 個人的に、わかっているようでよくわからない言葉の一つに「機能美」
というものがある。口で説明してみろと言われれば「機能性を追及して
いった果てに結果として獲得された美しさのこと」などと答えられるが、
自分でも、どうもしっくりと来ていない概念である。
 こうしたもやもやに解答を与えるには、たぶん実際に「機能美」の
何たるかを自分の目で見てみる以外にないのだと思う。この『BONES』は、
そういう意味で最高の資料となった。収められている獣たちの骨はどれも、
そのフォルムや機構がそれぞれの目的に真っ直ぐであることを感じさせて
くれて、その無駄のなさがとても美しく、優雅ですらある。

 表紙に使われているワニの頭蓋を始め、全ての写真は黒をバックに真っ白な
骨を浮かび上がらせるモノトーンになっているが、これがまた素晴らしい。
乾いた骨のざらつく手触りが伝わってくるようだし、濃淡の陰が起伏に
合わせて流れる様がなんだかとても色っぽい。骨になっている以上は
当然死んでいるわけで、生命の残滓など微塵も残っていないはずなのだが、
美しい形状それ自体が命の意志と力強さを感じさせるからか、むしろほのかな
生命の温かさを感じさえした。

 歯、爪、羽、脚。頭や全身像だけでなくそうした部位だけの写真も
載っており、それがまた美しい。より豊かに、効率的に生き延びていこう
とする心が肉体を、現実の物質を磨き上げたまぎれもない証拠である
これらの写真は、単なる美の対象の枠を超えて、さらに大きな教訓を伝えて
くれている気もする。


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