2014年7月4日金曜日

鳥羽山鯨類コレクション~東京海洋大学所蔵鯨類骨格標本の概要~ [単行本]

鳥羽山鯨類コレクション~東京海洋大学所蔵鯨類骨格標本の概要~ [単行本]

“鳥羽山鯨類コレクション"とは,鳥羽山照夫博士(故人,鴨川シーワールド元館長)が収集された小型鯨類骨格標本群と,高橋俊男氏(彫刻家)が制作した鯨類ミニチュアモデルの総称です。骨格標本は全111個体分あり,これだけの数が一同にそろっているのはとても貴重な存在で,現在では東京海洋大学に寄贈され研究などに活用されています。
本書では,鳥羽山博士の行跡と業績について,博士とゆかりの深い先生方が心あたたまる文章で,ミニチュアモデル製作者高橋氏の紹介と,コレクションの収められた東京海洋大学水産資料館や鯨類骨格標本についての基礎を紹介します。
そして,111個体すべての頭骨の写真(3方向)と簡易計測値を,1個体につき1ページで紹介し,ミニチュアモデル全86鯨種も掲載しました。
付録として,鳥羽山鯨類コレクションならびに東京海洋大学保有のヒゲクジラ類標本を用いて行った研究もご紹介します。 巻末には最新の学名・和名・英名も掲載しました。
本書は,図録出版を記念して行われた『東京海洋大学品川キャンパス 図書館展示ホールと水産資料館』での展示図録といった位置づけで,図録が先か展示が先かわからないが,とにかくイルカ博士鳥羽山照夫記念出版誌である.
日本のクジラ飼育を世界に肩を並べるまで高めると共に,飼育にかかわった当初から資料として骨格標本を残していく重要性を認識して精力的に骨格標本を製作したことが分かる.
鳥羽山氏により作製された標本は,編者加藤秀弘教授などの手により出身の東京海洋大学に寄贈されたことで,「鯨類の骨盤痕跡とその多様性」「ハクジラ類の頭骨の特性と系統」「鳥羽山コレクションを含むシャチ頭骨の成長依存的変化」といった学生論文となっていることも記録されている.
美ら海水族館の内田詮三名誉館長が,水族館人生は共に『一勝二敗』であったと想い出を書いているが,鯨類骨格標本として残された111個体のクジラにとっては当初から勝利だったと思いたい.
なお,もう一人の主役(鳥羽山鯨類コレクションの一部)は残念ながら表紙に無い.
しかし,写真の粒子が荒く羅列された骨学的説明がない頭骨写真に代わりに,高橋俊男氏が制作した鯨類ミニチュアモデルがページに彩を添えている.


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